結局レザーって、どれ選べばいいんですか?Part 2
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どうもこんにちは。GANZO本店スタッフ齊藤でございます。
日々お客様とお話をしていると、よく耳にする「結局のところ、どの革が一番良いですか?」という声。かなり気になっている方も多いと思いますので、今回はこちらに答えていきたいと思います。
Part 2の今回は、それぞれの革のメリットとデメリットをご紹介します。
それぞれのメリットとデメリット
牛革:ブライドル・グレージングカーフ・ベビーカーフ・フレンチカーフ・GUD・GD等
ブライドルレザー:シンブライドルシリーズに採用されているブライドルレザーは、イギリスの名門タンナーである「J&Eセジュウィック」が手掛ける、ブルームと呼ばれる蠟引きのコーティングが施された非常に分厚く質実剛健な革です。「シンブライドル」の「シン」とは「薄い」という意味で、そのままベルトを作れてしまう程の厚みの革を薄く鋤いて使用している事に起因します。
元々は鐙や手綱などの馬具に加工されており、蝋引きの加工はその馬と人をつなぐ大切な道具の強度を最大限に高める為です。
メリット:ガシガシ使える耐水性と質実剛健さ。
デメリット:硬い革の為、シワが発生しやすい。
グレージングカーフ:全行程が国産のグレージングカーフは「グレージング」という名の通り、染色後の透明感のある表面にさらに艶を出す「グレージング加工」が施されています。完成した革は表面の細かい「水シボ」と呼ばれるユラユラと揺れる水面のような美しいシボが特徴で、こちらはグレージング加工後の革を手作業で丁寧に揉みこむ事で生まれる職人技の賜物です。
メリット:薄く、軽く、しなやか。経年変化後のシワやトラも美しい。
デメリット:柔らかい分、成牛の革に比べるとデリケート。
ベビーカーフ:ベビーカーフはソフトレザーで定評のある南イタリア・ソロフラ地方のBello社で鞣しから染色までを一貫して行っています。ずっと触れていたくなる吸い付くような手触りは、完全な「水染め素揚げ」の「アニリン仕上げ」から生まれます。その革をベビーカーフシリーズに作り上げるのは、もちろん日本の職人。デリケートかつ収穫量の少ない貴重なベビーカーフに「ヘリ返し技法」で返し隅を丁寧に刻み、入念な「ネン引き」を施した製品からは、職人のクラフトマンシップが垣間見えます。
メリット:柔らかく、手馴染みが良いので使い始めからカードやお札の出し入れがしやすい
デメリット:柔らかい為、他の革よりは傷がつきやすく、水分も吸いやすい。
フレンチカーフ:去年より新シリーズとして登場したフレンチカーフシリーズ。世界最高峰と称されるフランスの名門、「DU PUY社」の「VEAUX DIVERS」という名のシュリンクの牛革は、強すぎない艶とふっくらとしたシボが特徴。上品な表情でありながら、傷や水濡れに強く、色落ち等の心配も無いので経年変化による色ムラやシミが気になる方にはお勧めのレザー。
メリット:水シミや小傷に強く、シワも発生し辛い。
デメリット:丈夫な故、経年変化が感じ取りにくい。
こちらもDU PUY社製の牛革を使用したシリーズ。「カントリーカーフ」と呼ばれる、ヨーロッパ産の厳選された最高品質の原皮を型押しとワックスで仕上げたレザーを使用しています。ナチュラルな色艶もさることながら耐水性・耐久性に優れ、傷も目立ちにくい事が特徴。型押しレザーの為、使い始めはやや硬めの革質だが、次第に程良いしなやかさに馴染んで行く為「育てる」感覚も味わえるレザーです。
メリット:型押しなので小傷や雨濡れ、水シミに強く、必要となるメンテナンス頻度も他の革に比べて少ない。
デメリット:非常に丈夫なので経年変化に伴う色の変化が少ない。
ミネルバナチュラル:ミネルバナチュラルは実はシリーズ名。使用している革はイタリア トスカーナ地方でバダラッシィ・カルロ社が手掛ける「ミネルバボックス」牛の肩の部位を使用していて、シボ感の強弱が個体によって大きくわかれます。
メリット:オイルがたっぷり入っているので乾燥しにくい。経年変化によって色が綺麗な飴色に変化する。
デメリット:最初の肌色が持続するわけでは無い。レシートのインクなどには注意が必要。
GUD, GUD2:イタリア・トスカーナ地方で100年以上の歴史を持つ「コンチェリア・グイディ & ロゼリーニ社」が手掛けるカーフは「フルグレイン」という子牛の皮の一番外側の体毛を丁寧に処理し、原皮の性質や強度を最大限保持した製法で鞣されています。個体の持つ傷やシワ、血管や筋肉の跡がしっかりと現れる為、製品に使用できる部分が限られた非常に希少価値の高い牛革です。染料の入り方にも個体差が大きく生じる為、気に入った表情の物があれば出会ったその時が買い時です。
メリット:「これぞ革!」と言えるこのGUIDIレザーでしか味わえない豊かな経年変化とカーフならではのしなやかさ。
デメリット:色止めの加工を施していないので、汗や水分による色移りには注意が必要。
馬革:コードバン2・コードバンオーセンティック・シェルコードバン2・サケット4等
国産コードバン:コードバン2 コードバンオーセンティックヨーロッパから塩漬けで輸入される原皮を兵庫県のタンナー「新喜皮革」が鞣し、千葉県のメーカー「レーデルオガワ」がグレージングと染色を施した「アニリン染め」のコードバン。新品の状態は均一な艶感ですが、経年変化が進むにつれてアニリン染料が透過していく事で原皮本来の茶色が表面に現れる美しいグラデーションが特徴です。水濡れには注意が必要ですが、唯一無二の透明感が感じられる美しいエイジングと優雅で上品な艶感がファンを魅了し続けるGANZOの定番シリーズです。
メリット:牛革に比べて引っ張りやシワへの強度が高い。宝石のような艶感と均一な表情。経年変化による美しい色のグラデーション。
デメリット:水シミ(水ぶくれ)や小傷が目立ちやすい。
シェルコードバン:
1905年に設立した、アメリカ・イリノイ州シカゴの老舗タンナー「Horween Leather Company」が手掛ける最高級コードバンです。名前の「シェル」とは、原皮の繊維質構造を指します。美しさ、耐久性、通気性に加えて、独自のブレンドで加えられるビーズワックス、ラノリン、牛脂、樹皮などのオイルが実現する防水性という国産コードバンには無い特性があります。経年変化は国産コードバンとは真逆で、色が濃く変化していきます。どの色も最終的には黒に近づいていく為、色の濃淡を味わいたい方には明るめのナチュラルやバーガンディがお勧めです。
メリット:唯一無二の艶と経年変化。ただでさえ頑丈な革にオイルを加えているので手入れをすれば10年以上使用できる。
デメリット:通常のコードバンよりは防水性があるが、まったく影響が出ない訳では無いので注意が必要。
ホースハイド:サケット4
サケット4に使用される馬のボディの革は、上質なヨーロッパ原皮を時間を掛けピット槽でベジタブルタンニンで鞣しています。原皮その物の表情を生かし、ホースハイド特有のキズやシワ等のダメージをあえて残しています。仕上げはアイロンを軽く掛けただけの「素あげ」となっており、水シミや衣服への色移行や表面の色落ちは避けられませんが、レザーバッグのイメージを覆す軽快さが魅力です。
メリット:柔らかく軽やかな革だが、経年変化は非常に濃厚で唯一無二の色味と艶感が味わえる。
デメリット:原皮の表情を生かした仕上げなので、水シミ・色移りに注意が必要。
鹿革: CERVO CERVO2
CERVOシリーズはニュージーランド原産のタンニン鞣しの鹿革。しなやかながらも伸びにくく、耐水性も兼ね備えています。
硬めの革がお好きな方にはちょっと敬遠されがちですが、実は大きなシワが発生し辛く、革切れも起こり難い丈夫な革です。
メリット:人工スエード等にも応用される鹿革の頑丈な繊維構造はしなやかさと耐久性を兼ね備えた扱いやすさ。
デメリット:柔らかい革なので硬い物や爪等によるひっかき傷には注意が必要。
爬虫類革:リザード・スモールクロコ・ケセマ
トカゲ革:リザードシリーズ
トカゲ革は鱗なので水分や傷に強く、中でもカードの形状が表革に出てしまう「アタリ」は発生し難いです。そして丈夫な分、革自体を薄く鋤ける事で商品本体の厚みもスマートに仕上がっている事も大きなメリットだと思います。ただし、爬虫類革なのでかなりお好みがわかれるところではあります…。
メリット:繊維密度が高いので牛革等と比べ傷に強い。薄さと軽さと耐久性を備える優れた素材。経年変化による艶も美しい。
デメリット:シワは発生しにくいが、鋭角に折り曲げてしまうと跡がついてしまうので注意が必要。
ワニ革:スモールクロコ
クロコは美しい模様と艶が何よりの魅力ですが、強度も兼ね備えた革です。ワニ特有の分厚い角質層に覆われた革は他のどの革よりも耐久性に優れています。加えて原皮になるまでは養殖物でも2~3年かかります。天然物だとその倍の年月を要し、鱗=腑の並びもそれぞれが世界に一つの物なのでそれだけで非常に希少価値のある皮革です。
メリット:牛革と比較した際の強度は約10倍と言われる。手入れを行い丁寧に扱えば経年変化を感じながら10年以上使うことも可能。
デメリット:トカゲ革よりも鱗の主張が大きいので、好みが別れやすい。
サメ革:ケセマ
サメ肌、いわゆる「シャークスキン」は、水や傷にはとても強いですが、強すぎるが故に経年変化がわかりずらいという面白い特徴を持っています。他の革よりも風合いの変化に時間を要しますが、エキゾチックレザーの中では比較的落ち着きのある表情ですので、初めてエキゾチックレザーを使うという方にはおススメの皮革です。
メリット:耐久性があり、独特のシボが小傷を目立たせ難い。
デメリット:頑丈すぎて経年変化のペースが非常にゆっくり。黒は艶感が増し、茶はツヤに加えて色の濃淡がゆったりと現れてくる。
以上、それぞれの革のメリットとデメリットのご紹介でした。
今回紹介した「メリットとデメリット」とは、すなわちその革の持つ個性。自分に合った個性の革をお選びいただく事で、デメリットすらその革の大きな魅力となります。
お財布またはバッグで、どの革のモデルを使おうかとご検討中の方やこれから本革の製品に挑戦したいという方、こちらのブログが少しでもご参考になれば幸いでございます。
一緒に選んでほしいという方は、お近くの直営店までお気軽にご来店ください!!スタッフがピッタリの革をご提案致します。
次回のPart 3 では革タイプ別の相性診断をご紹介しますので、更新をお待ちください。
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